朝からN先生に話しかけられた。
「ふぃーるさんの起案のデータが見えないんですけど?」
……見えないとは?
昨日、確かに電子起案を回覧した。添付データとして、フォルダのショートカットも付けている。
おそらく、N先生が言いたかったのは、こういうことだったのではないかと思う。
添付されたショートカットを開こうとしたら、開くためのソフトを選ぶように聞かれる。いったい何を選べば、データを見られるのか。
つまり、「データが見えない」というより、「どうやって開けばいいのか分からない」という話だったのではないだろうか。
ところが、私はN先生の言い方を聞いて、少し違う意味に受け取ってしまった。
「あなたの起案、データの添付の仕方が間違っていますよ」
そう言われているように感じたのだ。
いや、ショートカットだし、見えるはずなのだけど。
そう思った私は、
「一旦ダウンロードして、拡張子を『.lnk』にしたら見えるはずです」
と答えた。
※ここでいう「ドメイン」は、正確には「拡張子」のこと。
ところが、なぜかN先生は納得していない様子だった。
もしかして、電子起案の仕様が変わった?
そもそも、ここ数日、電子起案で使っているソフトの動きが変わったような気がしている。
バージョンが変わったのだろうか。
以前と違って、添付文書を開くたびに、いちいちPCにデータがダウンロードされるようになった。
正直、めんどくさい。
そのあたりで何か仕様変更があり、ショートカットからフォルダを開く操作もうまくいかなくなったのだろうか。
……いや、よく分からない。
少なくとも、ほかの人からは「起案が見られない」といった話は聞いていない。
だから、私の添付の仕方に問題があるのか、それともN先生の操作の問題なのか、あるいは電子起案の仕様が変わったのか。
今のところ、はっきりしない。
あれ? 上司も言っていたような……
ここまで考えて、ふと思い出した。
あ、上司も何か言っていたかもしれない。
もしや、拡張子を変えるという操作を知らなかったのだろうか。
私にとっては「ダウンロードして、拡張子を変えれば見られる」という話でも、ほかの人にとっては、そもそもそんな操作をする発想がないのかもしれない。
そう考えると、N先生が納得していなかった理由も、少し違って見えてくる。
私は「起案の添付の仕方が間違っている」と指摘されたように受け取った。
でも、相手は単純に「開き方が分からない」と言いたかっただけなのかもしれない。
そして私は、相手が何に困っているのかを確認しないまま、自分が正しいと思う解決方法を答えていた。
……うーん。
結局、データが見えなかった原因は分からないけど。
電子起案の仕様変更なのか、ショートカットの開き方なのか、それとも私の説明が伝わっていなかったのか。
ただ、ひとつ言えるのは、「見えない」と言われたときに、まず「どういうふうに見えないんですか?」と聞けばよかったのかもしれない、ということ。
そんなことを今考えている。

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